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魔法科学の最新動向に関する論考

Section 230

Section230を巡る現在の混乱

 2020年の大統領選挙後にトランプ陣営は、Dominion社の投票システムはベネズエラジョージ・ソロスクリントン財団の支援によって作成されたという陰謀論を展開した。FoxニュースなどのメディアやSNSは情報拡散を続け、1月6日、”Stop the Steel”を合言葉に掲げる暴徒の議事堂襲撃事件にまで発展した。そして、2月には、Fox News、Giuliani、Powell、Mike Lindellに対する巨額の賠償を求める訴訟が提訴された。米国政府は何が真実かを決めることはできなくとも、法において言論の自由に歯止めをかけることはできるはずだ。

 しかし、この追求は、FacebookYouTube、Parler、Gabといったソーシャルメディアに及ぶことはなかった。というのも、通信品位法230条(Section 230 of the Communication Decency Act)があったからだ。Section 230は1996年に成立し、オンライン・プラットフォーム(あるいは、インタラクティブ・コンピューター・サービス)は、ユーザーによる投稿内容に責任を追わないことを認めている。

 これをどう解釈すべきかについて、議論は途上にある。恩恵を受ける企業がある一方で、言論の自由の観点から問題を指摘する見方もある。成立から25年を経て今、結局、Section 230はどういう意味なのかという疑問の声が上がっている。トランプ前大統領は、「Big Tech, Section 230, right?(ビッグテックはSection 230を利用しているだろう?)」と主張している。バイデン大統領は2020年1月に「Section 230は即刻廃止されるべきだ」と述べている。

 Section 230に対する両者の意見は、Section 230を問題視する点では、奇妙に一致している。結局、Section 230を批判する人の多くは、自分が何を言っているのか、分かっていないのだ。

 

モデレーターのジレンマ

 Section 230は言論の自由を定めた法律だと言われるが、実際は、そんなグラマラスなものではなく不法行為(tort)に関するものである。とりわけ、中傷に関するものである。中傷に対しては、間違った主張を新聞が取り上げた場合、その主張者と新聞の両者を訴える事ができる。

 この出版におけるルールがオンラインに適用できるか?という問題が最初に取り上げられたのは、1991年のCubby vs. Compuserve裁判で、そこでは、フォーラムの編集をおこなっていないCompuserveの役割は出版者(publisher)というよりも配信者(distributer)であり、責任を問われないと判断された。これはインターネット企業にとっては好都合だったが、もし、フォーラムを編集し問題を回避するmoderationをおこなったら、責任が生じるのだろうかという疑問が湧く。

 その4年後には、投資銀行に対する中傷投稿をめぐりサイト運営者に対する訴えが起きたが、不適切投稿に対する監視(moderation)をおこなっていたサイト運営者には出版者と同様の責任が認められた。しかし、この判決の結果、ユーザーをハラスメントや猥褻行為から守ろうとすれば、訴訟で負ける恐れが高くなるというジレンマに運営者は直面することになった。

 このジレンマに対応するために、通信品位法(Communication Decency Act)の第230(Section 230)条が設けられた。そこでは、インターネットのプラットフォームは、法的に問われることなく、ユーザーを保護できることが認められている。そして、サービスプロバイダーやユーザーは出版者や情報提供者として扱われることはないとされている。

 これによって、運営者は、不適切投稿監視に関するジレンマからは開放されることになった。

 

完全な免責

 1995年4月19日、オクラホマ市の連邦政府ビルでテロリストの爆弾により168人が犠牲になった。その6日語、AOLに“Naughty Oklahoma T-Shirts(まぬけなオクラホマTシャツ)”の広告が掲載された。投稿者は今持って不明だが、Tシャツの申込連絡先として示されていた電話番号はシアトルのTVプロデューサーのものだった。身に覚えのないプロデューサーは、Section 230の成立の2ヶ月後の1996年4月、連邦裁判所に対して、AOLを出版者としてではなく配信者として訴訟を起こした。配信者だとしても、何も責任はないのか?配信の放置といった別の形の責任は問えるのか?といった点が争点になった。

 Harvie Wilkinson III判事は、”plainly immunizes computer service providers like AOL from liability for information that originated from third parties(AOLのようなコンピューターサービスプロバイダー)は、第三者が投稿した情報に対する責任を負う必要がないことは明らかである(plainly immunize)”という判決を下した。この判決が先例となって踏襲されることになった。しかし、この判決は、Section230のパラドックスを露呈することになった。Section 230は元々、ユーザーを保護するためにプロバイダーの監視を保証することを意図していた。


議論の行方

 その後も、文言を文字通りに解釈した判決による混乱もあり、デジタルの世界にも一般の法律と同様の問責が何故できないのかといった問題提起が相次いだ。電子メールからクラウドサービスに至るまで、様々なネットサービスのどこまでが責任を負うのかという問題は、今日の巨大プラットフォーム企業存続の根幹に関わる。しかし、Section 230なしにうまくやっている国や企業もある。漸次対応を進めるのが、現実的でもある。

 Section 230については、様々な改正案が提案されている。民主党のSafe Tech Actでは、speechをinformationに置き換え、表現の自由を保護するという観点からの提案がおこなわれている。また、Section 230の保護対象をメディアのような編集に責任があるサイトに制限しようとする考え方もある。別の考え方では、巨大プラットフォーム企業などの商業目的サイトに対するSection 230の保護を制限しようとしている。穏健な考え方としては、乱用していないことが認められた企業に対してだけ、Section 230による保護を認めるというものもある。ただ、これらの考えのいずれも、全ての問題を一気に解決する決定打とはなり得ない。

 一つ確かなのは、Section230抜きには、今日のソーシャルメディアはなかったということだ。こうした法律や判例の混乱がなければ、従来の法律の妥当な適用や適切な法律制定がおこなわれていたかもしれない。法律を変更するにしても、大企業は変更に対応できても、中小企業は対応費用を負担できず、大企業のみが利益を享受する恐れもある。また、自主検閲に任せた放任主義も顧みられうことすらなくなっている。Mark Zuckerbergは、Section230の改革を支持するといっているが、小さな修正であれば、相対的にFacebookにとっては有利に働く可能性もある。一方で、コンテンツの適切な監視をおこなうモデレーション・ソフトウェアを提供するCaliberAI、Sentropy、Sendbireといったサードパーティも登場している。

 結局、実際のところ、Section 230は、巨大プラットフォームにビジネス上のコストを引き受けなくて済むようにしてしまった。有害な化学物質を製造してしまった化学企業や、危険な商品を販売した企業はこうはいかないだろう。だが、それでもテフロン加工のフライパンがなくなることがないように、インターネットがなくなるわけでもない。

暗号技術に隠れているもの

 Wired誌6月号「Praradise@CryptoArcade」が面白かった。以下、メモ。


 Web 1.0 というのは、端的に言って、Microsoft Internet Explorerなどのブラウザーの時代だった。それに対して、Web 2.0というのは、Wikipedia, Amazon製品レビュー、YouTubeなどユーザージェネレイトコンテンツの時代だった。それを反映し、2006年のTime Person of the Yearは“You”、すなわち、ユーザーがインターネットの主役だと言われた。しかし、ユーザージェネレイトコンテンツは、結局のところ、ユーザーの無償労働であり、その中から生まれたソーシャルメディア大手4つのうち3つはMeta、YouTubeGoogleである。Web 2.0Facebookを産み出し、Googleを急成長させた。AppleAmazonWeb2.0の恩恵を受けて発展した。現在のGAFAWeb2.0の帰結というのは皮肉である。


 Web 3.0は、こうした巨大プラットフォーム支配に対して、 「ブロックチェーンは違う」、自律的な脱中心化だというが、それは本当だろうか?Googleの有名な社是として「don’t be evil(邪悪たるべからず)」は、いまや空疎な響きだが、これをもじってWeb 3.0は「Can’t be evil(邪悪にはなりようもなくできている)」だという。


 すでにBitcoinとEthereum の消費電力を合わせると、英国やイタリアの消費電力(どちらも286Tw)と同じくらいになっている。その原因になっているブロックチェーンの計算は“proof of work”から、“proof of stake”と幾分計算量を減らす方向に進められようとしているが、それで低消費電力化とセキュリティが補償されるのだろうか。NFT marketplaceのOpenSeaから200万ドル相当が盗まれたなど、ブロックチェーンは本当に安全なのかという疑問が湧く話は引きも切らない。


 また、Web3.0は脱中心化だというが、Web 3.0のインフラの殆どはInfuraAlchemyの2社が握り、NFT market placeはOpenSeaが支配しており、脱中心化どころか、むしろすでに現状は寡占化されている。そもそも、「いいね」まで、なんでもブロックチェーンにする必要はなさそうだが、黎明期の混乱が続いている。


 暗号通貨は銀行を不要にしようというところから出発した。金融取引は通貨情報のやり取りなので、ITとの親和性が高い。銀行が間に入る必要があるのか、というのは情報技術の観点からはもっともに思える。中心で銀行を介さず直接取引できるのなら、そのほうが効率的である。しかし、そうした中心が存在するというのは、中心化し集約するほうが効率的だったということである。また、少なくとも現時点では、ブロックチェーンや暗号通貨を用いない従来の金融の方が、より多くの企業が参入しているという点で、脱中心化している。(また、信用という観点もここでの議論には欠落している。)

 

 会議で、筆者の「Web 3.0よりもデータポータビリティー法の方がWeb3.0よりも簡単なのではないか?」という問いに対して、開発者は「政府はソフトウェアよりものろまな時代遅れのものだから、我々が置き換える」と答えている。Web3.0推進派は政策に働きかけることに興味を持っていない。また、「Open App Market Actが通れば、Web3.0アプリをApp Store以外でもダウンロードできるかもね」という筆者の冗談に対して、開発者は「そんんな法案があるの?!」と驚いていた。


 (開発者は」、あまりにナイーブなのではないか。金融における信用への考察も見られない。深く考えている様子もない紋切り型の認識は、いつの世の中でも起きる若者の社会運動のようにも見える。そのモーメンタムが本当に社会を変えるだろうか。)


 従来の法律と違い、DeFi(Decentraized Finance)には殆ど規制がなく銀行もないので、盗まれても補償する必要が無い。2021年だけでDeFiプラットフォームから$10 billionが盗まれている。

 

 (このことは、暗号通貨とDeFiにおける信用の欠落を示しているが、暗号通貨推進派に言わせると、それは解決可能な技術的問題だということになってしまう。これは、根本的な間違いだと思う。バグのない情報システムはこれまで存在しなかったし、多分、これからも永遠に存在しない。その前提に立たないと、すべて、解決可能な技術的問題で、すぐにfixされるということになってしまう。Web3.0全てに関わりそうだが、この論法は質が悪い。ほとんど詐欺だと思うが、詐欺だと立証することもできないだろう。)

 

 背景には、Linux以来のオープンソースの反拝金主義の理想主義があると、筆者は指摘する。しかし、現実的には、それではエコシステムは成り立たない。Web3.0のビジネスモデルは、トークンを参加者全員に配布して、参加者にトークンの価値を増大させるインセンティブを与えるというtokenomicsということになる。そして、トークンの価値は、それを買いたいと思う人がいるかどうかで決まる。例えば、Web3.0 Search EngineであるPresearchでは、広告主は、検索上位にくるためにはトークンを買わなければならない。トークン経済でユーザーのモティベーションを方向付けし、儲けすぎて、トークンの今後の価値上昇が期待しにくくなれば、ユーザーが去って行きトークンの価値が下がるという。そのため、独占が生じず、投機性が維持されるという。(支離滅裂である。)仮に、そうだとしても、一人で複数のアカウントを持たれたらどうなるのか。そうした1つのサービスよりも、インフラに価値は集中することになる。


 GitCoinのファウンダー、Kevin OwockiはWeb3.0 funding platformを目指していると言うが、自身を「cypherpunk、leftist、solerpunk、regenerative crypto-economics」の信奉者だという。

 

 DAO(decentralized autonomouse organization、分散型自律組織)では、メンバーはDAOのトークンを購入して参加すると同時に、そのDAOのオーナーとなる。メンバー兼オーナーはそのDAOの意志決定、多くの場合投資、に関して投票する権利を持つ。最初のDAO、"The DAO"は2016年に崩壊、イーサリウムで$50millionが盗まれた。DAOのインセンティブ設計手法、"quadratic voting"では、多額の「ポイント」を投じれば投じるほど、その効果が逓減するようなモデルで、一部の富豪の支配を防ぐのだという。


 MicrosoftのGlen Weyl, Microsoft は、I am deeply ambivalent about Web3"だとし、脱中心化やデジタル公共財といった考え方は支持するが、ブロックチェーンや暗号通貨のポテンシャルについては現時点で懐疑的だという。ここでも、sybil attack(1人で複数アカウントを利用したピアツーピアの攻撃)の問題はつきまとう。
 筆者は、この会議を通じて得た印象として、1つに、DAOはトークンを持つ者の集団というだけにすぎないとする。2つめに、実際に自身の理解のために、DAOを試しに作ってみた経験の感想として、DAOを作るのはゲームのようで楽しい(Web3 is a realm where coders can feel good again about working in tech.)という。


 こうして、読んでくると、分散型自律組織(decentralized autonomous organizations :DAO)や、「分散型自律ネットワーク」、Web3.0というのも結局、トークノミクスでインセンティブを設計した閉鎖的ネットワークというだけで、新しいインターネットのように言うのは言いすぎに思える。結局、単なるクローズドネットワークではないのか。だが、記事で挙げている話も、どこか恐る恐る、こんなものはでたらめだろうと言っているように聞こえる。
 トークノミクスでオーナー兼参加者のインセンティブを揃えると言っても、何故、それにわざわざブロックチェーンを使う必要があるのか。
 ネズミ講も社会全体に普及すればネズミ講ではないとか、親が儲からないようにすればネズミ講ではないというのは、The屁理屈ではないのか。
 最後は、こういう詭弁を考えるエンジニアは楽しいだろうなと嫌みを言っているようにも聞こえる。
 しかし、いやそれは、とブロックチェーンの話をされると、煙に巻かれてしまいそうだ。ならば、なぜ分散台帳で履歴が記録されているはずなのに、多額の暗合通貨が跡形もなく盗まれてしまうのか。
 記事でも触れられているが、そもそも、ビットコインの論文を発表し、発明者とされるSatoshi Nalamotoとは何者なのか。実在するのか?日本人なのか?何者かの偽名なのか?だとしたら、誰がどうしてそのような形で発表する必要があったのか?出発点から胡散臭い暗合通貨は、本当に信頼できるのか?2008年からある話が、なぜここで盛り上がっているのか?発端となったSatoshi Nakamotoの論文も、理論上正しいというのは、数学的には無限大や無限小ではそうなるから理論的に正しいということなので、現状を見るに実用的かどうかというと微妙なところかもしれない。
 王様は裸だと言い切るのは、ビル・ゲイツイーロン・マスクのような王様でないとなかなか言えないもんだなという気がする。王様でもない一般人としては、こうして書いていて、やはりどこか不安ではある。個人的には、Web3.0は裸だという方に10イーサ賭けてみたい気がするが、暗合通貨は一切所有していないし、購入する気もない。。

【研究論文】ポケモンGO個体値100の伝説ポケモンに遭遇する確率

 今回40回くらいしかやっていないのに、2匹も個体値100を捕獲できたのは驚異的といえる。個体値100をゲットしたかったら、普通は2,300回はやらなければいけないと言われる。個体値100をゲットするにはどのくらいやらなければいけないのだろうか。その確率の計算方法を以下に示す。この計算方法は、色違いなど他の場合にも応用可能なので、一般的な形で論じる。

 

目標個体値にX%の確率で遭遇するのに必要な平均的回数は、以下のように見積もられる。

 

計算方法:

 一回あたり確率pで状態αのポケモンを捕獲できるとすれば、捕獲できない確率は1−pである。よって、m回目に始めてαをゲットする確率は、q(p,m)=p(1-p)^(m-1)である。従って、m回目までにαをゲットできる確率は、q(p,1)からq(p,m)までの総和R(p,m)となる。これを表計算で計算すればよい。

 ここで、αとしては、個体値100、色違い等の場合が考えられる。個体値100の場合、各個体値がランダムであれば10〜15の6通りなので、6x6x6=216通りなので、p=1/216である。色違いの場合は、大体20匹に1匹、p=1/20くらいが目安と思われる。pについては、データの集計が必要であるが、データの信頼性が大きな問題になる。

 また、R(p,m)についても、ここで計算しているのは1匹目がm回目で始めて出る確率である。従って、今回のように、m回やって2匹目、またはそれ以上出る場合の確率の計算は別である。そうした場合、1匹目が出る確率にそれ以降n回で出る確率を計算してかけ合わせることが必要になる。それは表計算では面倒なのでここではやらない。

 また、これはあくまで遭遇の確率であって、逃がしたら、それはトレーナーの責任である。

 

計算結果:

上の手法で、3つの場合について計算した。(1)個体値100、(2)満足できる高個体値、(3)色違いの場合である。全て横軸は戦数、縦軸は確率(%)である。

 

(1)個体値100

 150回で5割、200回で6割、300回で75%というのは、経験や世間の声からも妥当な数字と思われる。

 

(2)高個体値

個体値100以外でも、FEF(15/14/15)やFFE(15/15/14)であれば、実用上充分な個体値と言える。この場合、3通りが対象となるため、確率p=3/216=1/72となる。

 

(3)色違い

色違いの確率としては、p=1/20として計算した。これは、一つの目安であって、他の確率を想定する場合は、各自で計算されたい。

 

(4)個体値100の色違い

今回、100と98色違いを立て続けにゲットし、「これは、今、来てる」と思って、その後も10戦くらいやったが、さすがに100の色違いは出ず、色違いがもう1匹だった。では、すべてのポケモンGOトレーナーの夢、伝説ポケモン個体値100の色違いに出会うためにはどのくらいやればいいのだろうかと思い計算してみた。p=1/(216*20)=1/4320として、結果は500戦しても、遭遇確率は10%程度というものだった。3000戦やれば遭遇確率は50%、90%の遭遇確率には10000戦が必要と見られる。

 

計算結果からも、40回程度で2匹の個体値100,個体値98の色違いの捕獲成功は極めて稀であることがわかる。今回の偉業に満足することなく、トレーナーとして終わることのない精進を重ねていきたい。

 

【プレスリリース】個体値100のミュウツー2体の捕獲に成功

本研究所ポケモン研究グループは、苦難に満ちた冒険の旅の末、最強のポケモン、すべてのポケモンの遺伝子を持つというミュウツー、しかも攻撃・防御・スタミナの全てにおいて最高の個体値を有する個体値100のミュウツーを2体、それぞれ期間限定技、最強のゴースト技シャドーボール及び最強のエスパー技サイコブレイクそれぞれを持った1体ずつの捕獲に先月成功しました。攻撃・防御・スタミナの個体値が10〜15のランダムだとすれば、個体値100の出現確率は1/216ということになります。それを2週続けて捕獲に成功したというのは、神がかった驚嘆に値する幸運です。しかも、2匹目の捕獲直後には、色違いで個体値98(15,14,15)の捕獲に成功しました。一般に色違いのレイド出現確率は5%と言われており、この個体値の色違いも個体値100と遜色のない快挙です。当研究所では、引き続き、ポケモンの謎を解き明かすべく、冒険の旅を続けて参ります。

 

Digital Service Act

 4月23日、EUでデジタルサービス法(DSA)法案が合意に達した。これによって、プラットフォーム企業はコンテンツに関して大きな責任が求められることになる。欧州委員会ウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長は声明で、「DSAは、EUにおけるすべてのオンラインサービスの基本ルールを改善するものである。オフラインで違法なものはオンラインでも違法であるべきだという原則を、現実にするものだ。規模が大きくなればなるほど、オンライン・プラットフォームの責任も大きくなる」と述べた。DSAによって、違法コンテンツの迅速な削除、アルゴリズムの透明性、虚偽情報拡散に対する厳しい措置が求められ、最大で全世界売上げの6%の罰金が科されることになる。
 3月に合意に達したDMA(デジタル市場法)に対して、DSAはプラットフォーム企業の自社サービスへの責任を定めており、ユーザーへの直接的な影響を取り締まるものである。今後、EU以外にも影響が波及し、世界中の規制がDSAに範を取るようになると見られている。
 EU加盟国が大まかな合意に達したものの、最終的文言はまだ確定しておらず、形式的になると見られる投票を経て正式に成立する。そして、採決後15ヶ月後、2024年1月1日のいずれかの遅い方の時点から施行されることになる。

  • 個人の宗教、性的指向、民族に基づくターゲティング広告の禁止。未成年者に対するターゲット広告の禁止。
  • 「ダークパターン」の禁止。EUは、サービス脱退は原則として登録と同じくらい簡単であるべき。
  • 大規模オンラインプラットフォームの推薦アルゴリズム透明化。また、 「プロファイリングに基づかない 」推薦システム提供。
  • 違法なコンテンツ削除理由の明確な説明。削除への異議申し立て手段。しかし、DSA自体は、違法コンテンツを定義しておらず、各国判断。
  • 最大手オンライン・プラットフォームは、オンラインのリスクを理解するために、研究者への重要データを開示する。
  • オンラインマーケットプレイスは、違法な商品やサービスを販売する個人を追跡するため、取引者の基本情報を保持しなければならない。
  • 大規模プラットフォームは、危機の際における誤報対処を導入しなければならない(最近のウクライナ侵攻に触発されたもの)。

 総論異議なしとしても、具体的な判断と執行の体制がどうなるのか。EU加盟国間でも判断が分かれるケースが出てこないのか。そもそも、法律がイタチゴッコに追いついていけるのか。実際にどうなるのか、何が期待できるのか。国際的な越境案件にどう対応することになるのか。議論は尽きないが、まずは現実で第一歩を踏み出したことになる。実際にオンラインで何が起きるか、注目される。

(累積的義務) 中規模サービス ホスティングサービス オンラインプラットフォーム 巨大プラットフォーム
透明性の報告
基本的人権を考慮した利用規約の要求事項
命令に従った国家当局との協力
連絡先および必要であれば法定代理人
通知、措置、情報をユーザーに提供する義務  
苦情と救済のメカニズムおよび法廷外での争議解決    
信頼できる旗振り役    
不正な通知や反対通知に対する措置    
三者供給者(「KYBC(Know Your Business Customer)」)の信頼性審査    
オンライン広告のユーザー向け透明性    
犯罪の報告    
リスク管理義務およびコンプライアンス・オフィサー      
外部リスク監査と説明責任      
推薦システムの透明性及び情報アクセスに関するユーザーの選択      
当局や研究者とのデータ共有      
行動規範      
危機対応協力      

 

欧州委員会
「The Digital Services Act: ensuring a safe and accountable online environment」
「Digital Services Act: Commission welcomes political agreement on rules ensuring a safe and accountable online environment」

メタバース

 「メタバース推進協議会」が香ばしい。協議会メンバーも、メタバース技術に直接関わっている会社はないように見える。協議会の役員一覧を見ても、まともに関係がありそうなのは廣瀬先生くらいで、なぜ養老先生が代表理事隈研吾が特別顧問なのか、理解に苦しむ。メタバースといいつつ、デジタルツインのことなのかもしれないが。産が主導ならもう少し生臭さが匂ってきそうだし、学が主導しているならもう少し適切な人選だったのではないか。資金や人脈がどこから来ているのか、疑問である。設立プレスリリースからして、なんとも体裁が整いすぎている。

 そもそも、メタバースというのがどう考えても技術的にはhypeである。米国などでも、一般紙や経済誌レベルで疑問が投げかけられている。大騒ぎの端緒は、世界中で倫理性や独占禁止法などあらゆる面から規制当局のやり玉にあげられているFacebookが、傍からは唐突にこれからはメタバースの会社になると宣言して社名をMetaに変更したことだった。これまでもVRヘッドマウントのOculusを買収するなど、この分野で地歩を固めてきたFacebookではあったが、社名変更は驚きと当惑を持って受け止められた。

 FacebookGAFAの中でもとりわけ邪悪な存在であることで衆目が一致しながらも、いざ、法的な責任を問おうとすれば、独占の立証や言論の自由といった難問に直面することになる。さらに、ソーシャルネットワークは変化が速く、法的対応が追いつかない分野である。こうしたことから、GAFAの中で、もっとも制裁の難しいプラットフォーマーであり、世界中の規制当局が悩んでいる。立法が追いつけそうにないことから、各国当局は従来の行政執行の枠を超えた対応を進めようとしている。

 どう見ても怪しげなメタバースだが、バブルとしては大成功なのではないか。今後どうなるかは棚に上げて、バブルの仕掛け方としては学ぶ点が大変多い。成功要因としては、以下の点が上げられよう。

  1. 役者
    ザッカーバーグのような誰もが知っている、時の有名人が火をつけたことは宣伝効果絶大だった。
  2. タイミング
    投資資金が行き場を見失っていたため、半信半疑でも飛びつきたい人が大勢いた。
  3. リバイバル
    セカンドライフが流行ったのはもう四半世紀も前のことなので、世代が一回りしており、免疫が喪失されている。過去のコンセプトを再利用しても、覚えている人はほとんどいない。
  4. 誰にでも分かりやすそうでいて、よく考えると誰にも分からないテーマ
    3Dのアバターで架空世界でコミュニケーションできるというのは誰にでも分かりやすそうでいて、よく考えると、何が面白いのか、何の役に立つのかさっぱり分からない。メタバースでエクセルが使いやすくなるわけでもないし、わざわざアバターとして買い物する意味が分からない。木の葉の仮想通貨で、NFTの御菓子の家を買っても、食べることはできないだろう。
  5. 裾野が広く大風呂敷が広げられる
    技術オタクが何を言っても、市場や影響力は高が知れている。デジタルツインだろうが、VRだろうが、仮想通貨だろうが、何でもメタバース関連技術だと言える。一般消費財から不動産に至るまで、様々な多くの素人を騙して引きづりこめば、ヤッパリあれはダメでしたとは言いにくいので、暫くはこれで飯が食える。

メタバースというのが何なのか、とんと見当が付かないが、メタバースの実現よりも、現実のメタバース化の方が早いのではないだろうか。実現しても、出落ちになりそうな気がする。

 

要するに、メタバースというのは、心の汚れた大人のフェアリー・テールなのだと思う。

バーチャルシティコンソーシアム
日本メタバース協会
メタバースジャパン
メタバース推進協議会
日本デジタル空間経済連盟