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魔法科学の最新動向に関する論考

Digital Service Act

 4月23日、EUでデジタルサービス法(DSA)法案が合意に達した。これによって、プラットフォーム企業はコンテンツに関して大きな責任が求められることになる。欧州委員会ウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長は声明で、「DSAは、EUにおけるすべてのオンラインサービスの基本ルールを改善するものである。オフラインで違法なものはオンラインでも違法であるべきだという原則を、現実にするものだ。規模が大きくなればなるほど、オンライン・プラットフォームの責任も大きくなる」と述べた。DSAによって、違法コンテンツの迅速な削除、アルゴリズムの透明性、虚偽情報拡散に対する厳しい措置が求められ、最大で全世界売上げの6%の罰金が科されることになる。
 3月に合意に達したDMA(デジタル市場法)に対して、DSAはプラットフォーム企業の自社サービスへの責任を定めており、ユーザーへの直接的な影響を取り締まるものである。今後、EU以外にも影響が波及し、世界中の規制がDSAに範を取るようになると見られている。
 EU加盟国が大まかな合意に達したものの、最終的文言はまだ確定しておらず、形式的になると見られる投票を経て正式に成立する。そして、採決後15ヶ月後、2024年1月1日のいずれかの遅い方の時点から施行されることになる。

  • 個人の宗教、性的指向、民族に基づくターゲティング広告の禁止。未成年者に対するターゲット広告の禁止。
  • 「ダークパターン」の禁止。EUは、サービス脱退は原則として登録と同じくらい簡単であるべき。
  • 大規模オンラインプラットフォームの推薦アルゴリズム透明化。また、 「プロファイリングに基づかない 」推薦システム提供。
  • 違法なコンテンツ削除理由の明確な説明。削除への異議申し立て手段。しかし、DSA自体は、違法コンテンツを定義しておらず、各国判断。
  • 最大手オンライン・プラットフォームは、オンラインのリスクを理解するために、研究者への重要データを開示する。
  • オンラインマーケットプレイスは、違法な商品やサービスを販売する個人を追跡するため、取引者の基本情報を保持しなければならない。
  • 大規模プラットフォームは、危機の際における誤報対処を導入しなければならない(最近のウクライナ侵攻に触発されたもの)。

 総論異議なしとしても、具体的な判断と執行の体制がどうなるのか。EU加盟国間でも判断が分かれるケースが出てこないのか。そもそも、法律がイタチゴッコに追いついていけるのか。実際にどうなるのか、何が期待できるのか。国際的な越境案件にどう対応することになるのか。議論は尽きないが、まずは現実で第一歩を踏み出したことになる。実際にオンラインで何が起きるか、注目される。

(累積的義務) 中規模サービス ホスティングサービス オンラインプラットフォーム 巨大プラットフォーム
透明性の報告
基本的人権を考慮した利用規約の要求事項
命令に従った国家当局との協力
連絡先および必要であれば法定代理人
通知、措置、情報をユーザーに提供する義務  
苦情と救済のメカニズムおよび法廷外での争議解決    
信頼できる旗振り役    
不正な通知や反対通知に対する措置    
三者供給者(「KYBC(Know Your Business Customer)」)の信頼性審査    
オンライン広告のユーザー向け透明性    
犯罪の報告    
リスク管理義務およびコンプライアンス・オフィサー      
外部リスク監査と説明責任      
推薦システムの透明性及び情報アクセスに関するユーザーの選択      
当局や研究者とのデータ共有      
行動規範      
危機対応協力      

 

欧州委員会
「The Digital Services Act: ensuring a safe and accountable online environment」
「Digital Services Act: Commission welcomes political agreement on rules ensuring a safe and accountable online environment」