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魔法科学の最新動向に関する論考

日本の性悪説

 

 H3ロケット打ち上げ失敗に先だってMRJの事業撤退が発表されていた。そこでの大きな失敗の原因は米国航空局への申請への対応対策が不十分だったことだという。こうした規格や標準化について、日本は不得意なのかもしれない。医薬品についても同様の事情がありそうだ。当然、言葉の壁もあるのかもしれないが、それ以前に根深い日本の国民性や文化に根ざした問題はないだろうか。

 

 標準化や規格化は、多くの国、多民族、多文化の間の取りきめで、そこでは共通のルールが必要だから設けられているものである。それは、性悪説に根ざしたものにならざるを得ない。でなければ、そうしたルールは必要ない。これは、単一言語、単一民族、ほぼ無宗教で「和をもって貴しとなす」の性善説の日本人には苦手なのではないだろうか。

 

 しかし、その「和をもって貴しとなす」が日本の長所であり、経済発展の原動力でもあったのではないか。多様性を謳って中途半端な多様性を目指しても、欧米の移民問題にみるように、成功するとは限らない。むしろ、多様性というのは美辞麗句の言い訳にすぎなくなることすらある。

 

 デフォルトは性悪説で、相手を確認後に信用するという姿勢を、今後は日本人も取り入れていかざるを得ない。オレオレ詐欺には将来性ないだろうし、セキュリティー・クリアランスも不可避だろう。風景は移ろい行き、昭和は遠くになりにけり。明治には江戸は、江戸には鎌倉は、弥生には縄文は。過去は常に遠くへ遠ざかっていき、その時代の物語の中に回収されていく。未来は遠く見えて、いつの間にか、昨日からあったかのような顔をして、街中をうろうろしている。我々を乗せた今は、水面の木の葉のように、時の中を流されていく。